大腸カメラ検査 病院選びのポイント

がん情報サービスによれば、最も罹患数の多い部位が大腸、その次が胃であると予想されています (がん罹患予測 2022年) 。大腸と胃がんを合わせると罹患数が全体の28.5%を占めます。

これらのがんは精度の高い内視鏡検査で診断が可能であり、早期発見・早期治療で完治が期待できます。

早速、具体的な内容に入っていきます。

ここでは大腸カメラ検査について述べます。というのも、スコープの挿入・観察において、胃カメラよりも大腸カメラの方が高い技術力と診断力が求められるからです。

さて、冒頭で述べた “精度の高い内視鏡検査” とはどのようなことなのでしょうか。以下の2点にまとめました。

  1. 見つけたポリープが将来、がんになるポリープか否かの質的診断力があること
  2. 大腸がんの元となるポリープをどのくらい発見できるか

このがんになる可能性のあるポリープを「腺腫 (せんしゅ)」 といいます。大腸カメラ検査では、腺腫をどれだけ発見できるか、腺腫発見率がとても重要になります。

世界的権威のある医学雑誌で「腺腫発見率が1%上昇するごとに大腸がんの発症率が3%減少し、大腸がんの死亡率は5%低下した」と報告されました (※)

すなわち、大腸においては、がんになる可能性があるポリープ(腺腫)を発見し、切除することで将来の大腸がん発生率、大腸がん死亡率を下げることが明らかになったのです。

アメリカ消化器内視鏡学会(ASGE)のガイドラインでは、検査医に 25%以上の腺腫発見率が求められています。

腺腫発見率はこのように、大腸カメラ検査をおこなう医師のスキルをはかる指標になります。

それでは、当クリニックの腺腫発見率はどのくらいでしょうか。2022年の実績を調べたところ、当クリニックの腺腫発見率は56.7%でした。

クリニックを選ぶ際の参考にしてみてはいかがでしょうか。

※ “Adenoma Detection Rate and Risk of Colorectal Cancer and Death”

Corley DA, Jensen CD, Marks AR, et al.  N Engl J Med. 2014 370 (14) : 1298-1306

日本で最も多いがん

2022年のがん罹患数予測が公表されました。国立がん研究センターが運営している「がん情報サービス」が毎年おこなっている統計です。

国立がん研究センターは日本におけるがん医療・研究の中心的拠点のひとつであり、余談ですが、瀧澤院長は国立がん研究センター中央病院で長年内視鏡検査を行っていました。

さて、このがん罹患数予測について、21部位ある全がんのうち男女計でもっとも多い部位が 「大腸」、次に多いのが「胃」です。この2つの部位で28.5%を占めます。「食道」も加えると31.1%の罹患数となります。

具体的な罹患数は以下のとおりです。

全がん (21部位)    1,019,000

大腸            158,200    (15.5%)

胃             132,100    (13.0%)

食道          26,800    ( 2.6%)

ただし、5年生存率を見ると大腸がん、胃がんは早く見つけるほど根治が可能な病気であることが分かっています。

平日が忙しくてなかなかお休みが取れない方も、検査が受けやすいように、月に2回、第1・3土曜日に胃カメラ・大腸カメラ (内視鏡検査) を実施しています。

便潜血検査で陽性と言われた方、親族にポリープやがんになった方がいる方、40歳以上で大腸カメラを受けたことがない方、胃腸に気になる症状がある方は、一度は内視鏡検査を考えてみてはいかがでしょうか (内視鏡検査を受ける前には、医師の診察が必要です)。

気軽にご相談ください。

ピロリ菌

こんにちは

2020年のがん統計予測(国立がん研究センターがん情報サービス)によれば、胃がんは大腸がんに次いで2番目に罹患者数が多いがんと予測されています。

そして、この胃がんリスクの最大要因が、これからお話しするピロリ菌です(もちろん喫煙、塩分の多い食事、野菜・果物不足、過度の飲酒、ストレスなどと関連性がありますが、最大リスクはピロリ菌です)。

先ず、ピロリ菌とは何でしょうか? ピロリ菌は胃の中に生息するらせん形状の細菌です。胃の中は強酸性であるため、細菌は生息できないと考えられていましたが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素で、アンモニアを作り出して胃酸を中和することで、胃の中でも生きていられるのです。

それでは、なぜピロリ菌に感染すると胃がんリスクが高くなるのでしょうか。それにはピロリ菌の感染と萎縮性胃炎についてお話ししなければなりません。ピロリ菌の主な感染ルートは口から口の家族内感染、特に母子感染が多いと考えられています。成人の場合はピロリ菌に感染したとしても一時的に急性胃炎を起こしてその後排除されることが多いのですが、免疫システムが未熟な幼少期にピロリ菌に感染すると、本人は知らないまま胃粘膜に炎症が持続している状態となります。

この慢性的な炎症の持続によって胃粘膜組織は破壊され、次第に薄くなり、「萎縮性胃炎」の状態となっていきます。この萎縮性胃炎は、以前は「慢性胃炎」と言われていたもので、胃がんの発生母地となることがわかってきました。成人して胃がん検診を受けてみて、はじめて慢性胃炎や萎縮性胃炎といわれて驚いた方もいらっしゃるでしょう。大人になって急に胃炎になったのではなく、ピロリ菌に感染することで実は子供の頃からずっと慢性胃炎状態であったのです。

萎縮性胃炎にはこれといった症状がありません。自覚症状なくても健診で慢性胃炎や萎縮性胃炎といわれたことがある方は一度ピロリ菌の検査を受けた方が良いでしょう。

それではピロリ菌の検査にはどのような方法があるのでしょうか。ピロリ菌に感染しているかどうかを調べるには、以下の6通りの方法があります。

  内視鏡を用いる方法  内視鏡を用いない方法
・ 培養法・ 迅速ウレアーゼ試験・ 鏡検法・ 尿素呼気試験・ 抗体測定法(採血、尿)・ 抗原測定法(便)

普段飲んでいる薬や抗生剤の使用歴、胃カメラを実施しているか否かなどを考慮し、検査方法を選択します。一般的には健診で萎縮性胃炎といわれた、もしくは胃痛や胸やけなどの症状がある方に胃カメラ検査を行い、ピロリ菌感染を疑う場合にこのような検査を実施します。(保険診療)

「胃カメラ検査を受ける決心はつかないけれど、ピロリ菌がいるかどうかは調べてみたい」という方にも検査を行うことはできます(自費診療として約5,000円)のでご相談ください。

ピロリ菌を除菌することで胃がんのリスクは下がることがわかっています。ピロリ菌に感染している方は、除菌治療を受けることをお勧めします。